椎間板(ついかんばん)ヘルニアについて。ペットの病気やケガ、治療について、対話形式(ドリルダウン)により分かりやすい解説しています。

0977-25-5556

椎間板(ついかんばん)ヘルニアについて

icon-Q

先生、朝起きたら、あまり動きたがらず、じっとしているんです。

抱っこしようとすると、痛そうに鳴いてしまって...。

歩き方は問題なさそうですが、背中を触るとかなり痛そうですねぇ。

icon-A
icon-Q

夜寝るまでは、本当に元気に走り回っていたんです!

こんなことってあるんでしょうか?

まず身体検査をしてみましょう。

痛覚や反射といった反応は問題なさそうですね。

おしっこやウンチは自分でコントロールできていそうですか?

icon-A
icon-Q

はい。うんちはまだですが、おしっこはトイレでしているのを見ました。

わかりました。

レントゲンの検査もさせてください。

icon-A
icon-Q

はい。

レントゲンの検査でも背骨には異常がないようにみえますね。

伺ったお話と、身体検査、レントゲン検査から胸腰部の椎間板ヘルニアが疑わしいですね。

icon-A
icon-Q

椎間板ヘルニアですか?!

レントゲンでわからないんですか?

はい。レントゲン検査のみでの椎間板ヘルニアの確定診断は困難で、椎間板ヘルニアの存在をある程度推察することができるくらいなんです。

確定的に診断するにはMRIやCTといった断層写真の撮影が必要になります。

icon-A
icon-Q

椎間板ヘルニアだった場合は、治るんでしょうか?

どういった治療をしていくんですか?

椎間板ヘルニアには、重症度によってグレードがⅠ~Ⅴbまであります。それによって、治療法やそれに対する反応が大きく変わってきます。

治療法は大きく分けて、内科療法

(保存療法)と外科療法(手術)があります。

グレード分類は、以下の通りです。

Ⅰ:
痛みのみで神経学的な異常はない
Ⅱ:
ふらつきはあるが歩行が可能、繰り返しおこる痛み
Ⅲ:
歩いたり、立ち上がったりが困難なくらいの麻痺
Ⅳ:
完全な麻痺、排尿障害(自分でおしっこがコントロールできない)
Ⅴ:
a;足先を強くつねっても痛みを感じないくらいの麻痺(48時間以内)
b;足先を強くつねっても痛みを感じないくらいの麻痺(48時間以上)
icon-A
icon-Q

この子はどのグレードなんでしょうか?

手術が必要なんでしょうか?

はい。

今の段階では、痛みだけで歩き方にも問題なさそうですし、おしっこもコントロールできているようなので、グレードⅠだと思います。

当院でのグレード別の治療方法は以下の通りです。

Ⅰ:
椎間板ヘルニアと仮診断し、保存療法(お薬で痛みのコントロールをしていく)
Ⅱ:
椎間板ヘルニアと仮診断し、保存療法
Ⅲ:
おもに、椎間板ヘルニアと仮診断し、保存療法
保存療法でコントロールできない痛みが続く場合はCT検査後、外科療法(手術による治療)
Ⅳ:
CT検査後、外科療法
Ⅴ:
CT検査後、外科療法
(CT検査は主に外科療法が必要になった場合に、実施しています。)
icon-A
icon-Q

じゃあ、今は手術しなくていいんですね!

はい。現段階では必要ないと思います。

ただ椎間板ヘルニアは、お薬を飲んでいる間でもまれに重症度が進む場合がありますので、激しい運動は控えるなどの運動制限はして頂いた方がいいと思います。

icon-A
icon-Q

わかりました。

調子が良くても、何回かの通院が必要になる場合が多いですので、お薬が終わるころに、また診せてください。

icon-A
椎間板ヘルニアについて

ご理解いただけましたでしょうか。

獣医師 院長
池谷 大輔

池谷が回答いたしました。

椎間板ヘルニアは、ミニチュアダックスにとくに多い疾患です。
とくに5~6歳の元気のよい子はなりやすい傾向にあると思います。
また、早期の治療はいい結果につながる場合が多いため、疑わしい症状の場合は早い段階でご相談ください。

一覧に戻る